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ゲストスピーカー:アルベルト酒井先生

Page history last edited by mariko iijima 15 years, 3 months ago

2009年1月9日(火)にアルベルト酒井先生をお招きして、「在日ラテンアメリカ人の日系性」について講義して頂きました。今まで太平洋を越えた日系人という遠い存在が、今回の講義を通じて身近な存在になったとともに、私が住む日本社会の問題やひずみを真っ向に受けながら生活をしていることがわかったと思います。また、そのような生活状況のもと、母語が果たす役割についても、詳しく言及してくださいました。

 

 

以下、酒井先生からコメントと回答です。

 

皆さん、
先日はお世話になりました。拙い話を真剣に聞いていただいた上、とても興味深い議論をすることができ、感謝しております。以下、いただいたご質問を回答してみました。
 

質問(1)「日系人」の範囲に「他の人種の血が混じっている人」が含まれているという考えに驚きました。日本生まれのいわゆる「ハーフ」の人も日系人と思っている人がいるということでしょうか。

「日系人」というカテゴリーは、日本人移民の歴史から生まれたものなので、その背景を持たない日本生まれの人に対してはあまり使わないです。ただし、例えば片方の親が南米出身の日系人で、もう片方の親が他の「人種」の方である人の場合は、もしかしたら「日系ハーフ」だといえるかもしれません。
いずれにしても、「日系人」や「ハーフ」のようなカテゴリーは、元もと他者から貼られるラベルであり、従って恣意的かつ可変的なものです。これらのカテゴリーの定義の境界線が非常に曖昧になったのが現状です。

 

質問(2)インタビューをする時に、「聞き方に注意すれば色々な話が聞ける」とおっしゃっていましたが、具体的にどのようなことに注意して、インタビューしているのですか。これについて直接お話もしましたが、インタビューという場には様々な側面が絡んでくるので一言でお答えするのは難しいです。

ただし、これは私見ですが、自分(聞き手)には「立場」があることを自覚するのが最も重要な点かもしれません。
聞き手も人間であるので、様々な先入観や文化的・社会的背景を背負っており、それを無理して取り除くのは不可能です。逆に、自分の背景がどのようにインタビューを左右しているのか、相手に自分の考えを押し付けていないのか、というところに注意すれば、恐らくインタビューに対する構えも大きく変わるでしょう。
そして、特定のコミュニティを調査する場合は、そのメンバーの世界観・価値観を理解することも大事です。
(お勧め文献: 桜井厚2002『インタビューの社会学―ライフストーリーの聞き方』せりか書房)

 

質問(3)「外国人の母親を持つのは問題ではありません。そんなんにね。ブラジル人であることが問題なのです」という話を聞いた時、スペイン人のお父様を持つアルベルトさんはどのように感じましたか。

父がスペイン人であるからというより、私の育った環境では日西両国の文化・言語がとても大事にされていたので、この少女のお話を聞いたときは非常に悲しく思いました。異国に住んでいる親が自分の言葉を子供に伝承できない(もしくは伝えたくない)というケースは良くあると思いますが、逆に子供の方が母国を拒否することに驚きました。
私もブラジル人の多い都市に住んでいたことがありますが、外見が「外人っぽい」のでブラジル人と間違えられることが多かったです。実際スペイン人であることを知られたときは、ほとんどの場合、日本人からの態度はより好意的になりました。このような環境が、先程の少女に「ブラジル系」であることに劣等感を抱かせる要因になったのかもしれないと思います。
 

 

 

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