本紹介


ここでは、講義内容とは直接関係のない本も含めて、私が個人的に面白いと思った本を紹介します。といっても、やはり自然と「日系」関係になっている気がしますが。。。

 

(1) 『深重の海』 津本陽著 (新潮文庫)

授業でも紹介しましたが、伝統的な捕鯨産業を400年以上も続けてきた和歌山県太地町を舞台にした小説です。初回のハワイの講義でも話したように、19世紀前半にはハワイは欧米諸国からの捕鯨船の寄港地として栄えていました。そして、それらの捕鯨船は、日本周辺にやってくる鯨を群れを求めてやったきたのです。グローバル化する捕鯨産業に押され、捕鯨の町―太地町―の漁師たちのもがき苦しむ姿が生々しく描かれています。設定は明治期と言えども、この小説から浮かび上がる様々なテーマ(捕鯨問題・近代化と伝統の維持・グローバル化)は、現代の社会問題と深く繋がってるといえるのではないでしょうか。

 

(2) 『世界が愛した日本』 四条たか子著 (竹書房、2008年)

最近、'Cool Japan'などの流行からもわかるように、日本社会や文化を以前より肯定的に捉える傾向が目立ちます。この本もそのような流行の波に乗っているような気もしますが、ここでは日本人によって救われた様々な国の人々と、その心温まる交流の感動秘話7つが紹介されています。日本のシンドラーと呼ばれる杉原千畝の話をはじめとして、遭難したトルコ船の乗組員を救った太地町(!)の人々の話、インドネシアの独立を助けた残留日本兵の話、などなど。このような話は、国家レベルの歴史ではほとんど語られることはありませんが、個人レベルで語られる歴史の違いと、それを語り継ぐ大切さを改めて実感した一書です。このことは、皆さんが見た『8月の狂詩曲』にも言えることかも知れませんね。通勤電車の中で読んでいたのですが、涙なしには読めません。。。

 

(3) 『絶望の精神史』 金子光春

coming soon!